『BREAD IT BE』のコンセプトは、「生地で勝負するパン屋」。具材やフィリングを使う菓子パンや総菜パンではなく、バゲットやカンパーニュといったシンプルなパンで、生地自体のおいしさを追求しています。配合がシンプルな分、素材には強いこだわりがあります。一番核となるのはやっぱり小麦粉でしょうか。ドイツから取り寄せた石臼で毎日自家製粉する小麦粉をはじめ、オーガニック小麦や国産小麦など約25種類を使い分けています。レシピを考えるときは、いつも食感やボリューム、味わいをイメージし、頭の中の引き出しからそれに合う特長の小麦粉を選んで組み合わせています。同じ小麦を組み合わせても割合や挽き方を変えると全然違ったものができあがるので、パンのレシピを考えるのは楽しみの一つでもあります。
北海道産の小麦「ゆめちから」と「きたほなみ」をブレンドした「秋がキタぞぅ」は、それぞれの特長を上手に生かした粉という印象を受けました。もちもち感やボリューム感を出す「ゆめちから」に「きたほなみ」を加えることで、歯切れの良さも出ています。産地は一緒だけど性質は真逆。でも製粉技術によってお互いの良いところを上手く取り合って、ちょうどよいバランスの粉に仕上がっている印象です。機能面でいえば、生地を成形した時にハリやコシが加わった感じがしましたね。吸水性の高さもあり、成形がしやすく扱いやすい。例えば、歯切れの良さも出したいけどもちもち感も出したいときや、ベーグルやプレッツェルにぴったりだと思います。さらに、食パンやハード系にも良いと思います。あまり引きが強くなりすぎない良いバゲットが焼けそうです。
何度でも食べたくなる、理想の「余韻が残るパン」。ベーグルとハードトーストに対してそれぞれ「秋がキタぞぅ」を100%で使ってみましたが、特にベーグルは他の粉を混ぜなくても自分が思い描いた通りに再現できました。ベーグルらしいボリュームを残しつつ、むぎゅっと詰まった引きを感じない歯切れの良さを感じられました。ハードトーストは生地を結構滑らかに仕上げることができましたね。どちらかといえば粉自体に味の特長がある小麦粉ではないので、風味を出す場合は、この粉をベースに70%配合し、残り30%に全粒粉やライ麦といった少し特長のある粉を加えると良さそうです。とご好評いただいております。